描述
ville apaisée
クルマのための道から、まちのための道へ。都市全域にわたりモビリティの速度と優先度を場所に応じて段階的に見直し、中心部の低速化と中心部へのアクセス性を実現した先に現れたのは、鳥のさえずり、人々の語らい、そして地域経済の活気だった。私たちが「街でどう生き、どう暮らしたいか」を問い直す、都市再生の最終解。
目次
「ビルアペゼ」で再生した海外のまち
小さなみちの大きな改革
第1章 世界の潮流は「脱・自動車ファースト」へ
・世界のマインドセット
・SDGs・パリ協定・ウェルビーイングが示す世界のマインドセット
・自動車ファーストの弊害
・車から都市空間を取り戻す
・マインドセットの転換を支える五つの柱
第2章 世界の「脱・自動車ファースト」に向けた取り組み
・SUMP――持続可能な都市モビリティ計画
・コンプリート・ストリート
・ウォーカブル・シティ
・道路空間の再配分
・UVAR――「脱・自動車ファースト」を実装するための政策フレームワーク
・Ville30
・クリマアクティブ――行動変容を支える国家的気候政策としてのモビリティ転換
第3章 速度制限で穏やかなまちをつくる「ビルアペゼ」戦略
1 「ビルアペゼ」とは何か
・「脱・自動車ファースト」に対する「Ville apaisee(ビルアペゼ)」という中間策
・速度こそが、都市の空気を決めている
・ビルアペゼの特徴―中心市街地から始まる「穏やかな都市」への転換
・ビルアペゼがもたらす都市への効果
・フランスにおける交通を穏やかにする歴史
・ビルアペゼは「交通施策」ではなく都市の設計思想である
2 都市中心部に向かってモビリティの速度と優先度を変える
・低速の中心部と、高速のアクセスを両立させる
・地区特性に応じた速度とモビリティの再配分
・中心部を自動車がなくとも用事が完結する場所へ
・中心部では「到着」よりも「回遊」が重要になる
・低速化がもたらすモビリティの再編
3 生活道路対象の「歩車共生道路」をまち全域とすべての道路利用者に拡大
・歩車共生は「対等」ではない
・通過はできても支配はさせない「空間設計」が必要
4 自動車を含む様々なモビリティを、場所に応じてミックスする
・モビリティは「万能」である必要はない
・徒歩・自転車・公共交通が重要な理由
・「第四の選択肢」短距離移動の乗合型モビリティ
・中心部に適した「大きさ」と「存在感」
・中心部では「自動車を減らし、多様なモビリティを増やす」
・中心部における自動車は「主役」ではなく「脇役」になる
・モビリティミックスは「人流」だけでなく「物流」にも及ぶ
5 出会いの空間
・ゾーン30―「自動車が主、ただし慎重に走る空間」
・ゾーン20(出会いの空間)――「人が主役、自動車は従」
・歩行者専用空間―「移動より滞在を優先する空間」
・出会いの空間―「交通空間」を「社会空間」に戻すための制度
・時速20キロメートルという「人間の速度」
・なぜ「出会い」という言葉が選ばれたのか
・制度から街路へ――「出会いの空間」はどう実装されるか
・反対が賛成に変わった四つの理由
6 多様な「脱・自動車ファースト」を組み合わせるビルアペゼの手法
・ビルアペゼは「単一施策」ではない
・ナントに見る、段階的・統合型ビルアペゼの実装
・ザルツブルク : 自動車通過規制と速度管理を積み重ねてきた歴史都市の進化
・ラ・ロッシェル : 道路再配分が都市の表情を変える
・ヨーロッパ諸都市に見るビルアペゼ戦略の共通構造
7 ビルアペゼ効果で商店街が復活、みんなが移動しやすいまちに
・商店街の活性化と移動の関係性―「どう来るか」が 「どう使われるか」を決める
・商業活性化は「交通政策の副産物」
・なぜ「車で来やすい店」より「歩いて楽しいまち」の方が強いのか
・商業面での「モビリティミックス」の効用
・なぜ「脱・自動車ファースト」は経済的に合理的なのか
第4章 「ビルアペゼ」を実現する五つの手法
・ビルアペゼを構成する三つの要素―― ゆっくりが都市の質を変える
・ビルアペゼを実現する五つのステップ
1 戦略的に導入地区を設定する
・導入地区を選定する五つの視点
・地区設定と交通分担率――空間から行動を設計する
2 モビリティ計画に速度と優先度を位置づける
・都市の価値観を「移動の序列」として可視化する
・都市生活を支える「選べる移動」のデザイン
・顔の見えるモビリティ
3 速度に応じてインフラを配分する
・道路インフラの使い方を見直す――「車のための道から、まちのための道へ
・速度は規制ではなく、設計条件である
・低速空間では、歩行と滞在を起点に設計する
・自転車と顔の見えるモビリティのための環境を整える
・インフラは都市の意思を語る存在
4 美観・ときめき・快適性を実現する街路空間づくり
・低速化は、都市の「見え方」を変える
・静謐さが生み出す、都市の質とウェルビーイング
・自動車が減ることで生まれる「緑」と都市文化
・モビリティの美観とデザインが都市をつくる
・快適性と包摂性が、都市を持続させる
・「安全」から「ときめき」へ : 交通政策としてのビルアペゼの到達点
5 穏やかな街をつくる仕組みと教育
・合意をつくる仕組み― 「説得」ではなく「参加と選択」
・行動を変える仕組み―ソフトとハードの組み合わせ
・制度と運営が、都市の方向性をぶれさせない
第5章 日本版ビルアペゼ「ゆっくりを軸とした心ときめくモビリティまちづくり」の実現に向けて
1 日本版ビルアペゼ「ゆっくりを軸とした心ときめくモビリティまちづくり」とは何か
2 なぜ日本の都市にこそ、このまちづくりが必要なのか
3 どこから始まるのか―導入が期待される地区
4 日本で実践する際の手法とポイント
5 日本版「ビルアペゼ」の実現に向けた課題
6 なぜ新しい制度(日本版ビルアペゼ法)が未来を支えるのか―ゆっくりが都市の誇りになる日常へ
鼎談 日本で穏やかな街をどう実現するか
おわりに
謝辞
●編著者
三重野真代
1980年大分県生まれ。京都大学経済学部経済学科卒業。ロンドンスクールオブエコノミクス(LSE)修士課程修了(都市政策)。2003年国土交通省入省。観光庁観光資源課専門官、京都市産業観光局観光戦略担当部長(出向)、総合政策局環境政策課課長補佐、復興庁企画官(観光担当)を歴任し、国土交通省を退職。現在は、東京大学公共政策大学院交通・観光政策研究ユニット特任准教授、武蔵野大学経営学部経営学科特任教授、一般財団法人運輸総合研究所客員研究員等。編著に『グリーンスローモビリティ~小さな低速電動車が公共交通と地域を変える~』(学芸出版社)。
石田東生
筑波大学名誉教授、SIP「スマートモビリティプラットフォームの構築」PD。東京大学大学院土木工学専攻を修了後、東京工業大学助手、筑波大学社会工学系教授を経て、2017年に定年退職。専門分野は、交通政策・国土政策・社会資本政策。最近ではMaaSやスマートシティに関する提言活動や政府の検討会議に参画している。国土交通省国土審議会推進部会副座長、グリーンインフラ推進戦略会議座長、経済産業省デジタルライフライン総合整備推進会議有識者構成員、デジタル庁モビリティWG有識者構成員などを務める。著書に『ウェルビーイングを実現するスマートモビリティ』(学芸出版社)など。
一般財団法人 運輸総合研究所
交通運輸及び観光分野における様々な研究調査活動や政策提言を行うシンクタンク。旧運輸省(現国土交通省)のイニシアティブにより、日本の産官学の支援を受けて1968 年に設立された。「学術研究と実務的要請の橋渡し」という設立の理念に立脚し、交通運輸及び観光分野の諸課題について、「世の中の役に立つ」「使いものになる」研究調査や政策提言を行い、課題解決に資するよう取り組んでいる。
●著者
谷口守
筑波大学名誉教授
牧村和彦
一般財団法人計量計画研究所常務理事、CoIU〔コーイノベーション大学〕教授
桃田健史
自動車ジャーナリスト
森雅志
富山大学客員教授、京都大学非常勤講師、元富山市長





